2024年5月の「心臓手術をした人も一緒に ジョギング&ウォーキング大会~After Surgery Fun Run」で、映像による記録と編集をお願いした成田さんはご自身も心臓手術の経験者です。
成田さんご自身の手術経験について伺いました。
インタビュー第1回はこちら
インタビュー時の成田さん
◾️手術体験とICUでの生活
成田 手術自体は問題なかったです。まあやってやろうみたいな感じでしたし、僕は目が覚めたら管がついていて、喋れなくなっている、みたいな感じですぐに終わりました。
―――入院中はどうでしたか?
成田 コロナ禍なので、パートナーに着替えとかを持ってきてもらっても看護師さんに渡さないといけなくて、誰もお見舞いにも来れない状態でした。
手術直後はICUに入りましたが、水を飲むことができないのにやたら喉が乾くので、看護師さんに氷だけでももらっていました。ICUでは近くの患者さんが亡くなってしまったようで、看護師さんたちが泣いているのを見て、そういうのはこたえました。
術後10日で退院しましたが、手術した傷口は痛く、体勢を整えるのも一苦労でした。
あと面白かったのは、入院食です。最初はまずいまずいって言いながら、病院食食べるじゃないですか。
でもだんだん、おいしく感じてくるわけですね。今までかけてなかったドレッシングをかけてみようか、みたい感じで、噛み締めて食べていました。
術後、最初に飲んだコーヒーはおいしかったですね。コーヒー好きだったのにコーヒー飲めなったので。一杯目がうまかったですね。
退院後もお酒もしばらくは飲めなかったけど、やっぱり最初に飲んだビールはうまかったですね。
◾️術後の生活で起こった身体とメンタルの変調
―――手術後の経過は良好でしたか?
成田 手術後は問題がなかったかと言えばちょっと嘘で、いろいろ気になる変化もありました。
1つは閃輝暗点(せんきあんてん)という症状が頻発するようになりました。目の前がキラキラ光って、そのキラキラがだんだん大きくなって迫ってきて、自分を通り抜けるとボーンと、偏頭痛が起きることがあって。実は昔からあったことですが、手術後は月に何回か、ひどいときには連日起きたりと、頻発するようになったんですね。
原因は脳の血管の萎縮だとは言われていますが、根本的な対処法はないので辛いです。それが手術のせいなのかはわからないですが。
2つ目に、飛行機乗れなくなっちゃったんです。おそらく手術の際に人工心肺を抜く時に、すごく辛くて溺れそうな感覚になったのがトラウマになってしまったようで。飛行機に乗っていたらもう降りたくなってしまったわけですよ。水を飲んでも何をしても収まりませんでした。
メンタルクリニックに行ったらやっぱりパニック障害的な診断だったので、通って薬を飲んで治療しました。
―――それは大変ですね。
成田 それでも症状は軽度で、電車乗っても大丈夫ですし、飛行機も仕事柄乗らないといけないので、もう克服しました。
3つ目はそれこそ、溺れる、という感じが怖くて。パニック映画とかで溺れるシーンが出てくるのを見ると辛いとかね。本当に自分も苦しくなってしまいます。パニック映画の仕事依頼はあんまり来ないので良かったです。
歯医者でインプラントの手術をしたときも、口開けてずっと拘束されているのが苦しくて、けっこう辛かったですね。
手術前にはそういうのはなかったから、術後はそうなるんだなあと思いましたね。もともとは自分はへっちゃらだと思っていた派だったのですが。
手術してすぐはやっぱりいろいろ気になりましたね。ちょっと心臓がどきどきすると、また発作が起きるのかなとか。
あとは心配事といえば、心臓手術で形成した弁の耐用年数は何年ですか?とお医者さんに聞いても言ってくれないとかですね。基本は永久だけど、もともとの組織がダメになる可能性はあるよって言い方ですよね。
まあ、気にしないのが一番いいんでしょうけどね。