エドワーズライフサイエンスは人工弁の開発・製造などを行っている、心臓に関連する医療機器メーカーです。この大会が始まってから大勢の社員の方が毎年ボランティア参加して運営のサポートをしてくれています。
2024年の大会において、積極的に参加者の方々と交流をされていたお二人にお話を伺いました。(会社方針として匿名にさせていただいています)
大会の準備をするエドワーズライフサイエンスのボランティアの方々
患者さんとの対話を通して見えるASFRの良さ
◾️歩けなくても走れなくても、参加できる“スポーツ大会”
―――大会にボランティアとして参加されて、印象に残っている方の話をしていただけますか?
Aさん 私が印象的だったのは、「喘息の症状が出ちゃって運動はできないんだけど、来ました」という方の話でした。お話を伺うと、昨年に引き続き2回目の大会参加で、昨年もウォーキングには参加できなかったとおっしゃっていました。
それでも、何度も足を運びたくなる――。自分が走る当人じゃなくても、治療を乗り越えて走れている人のエネルギーを感じられている、と言われていて、ASFRからこういう形で力をもらう方もいらっしゃるのかと思って、すごく印象に残りました。走らない方もその一員と感じられる空気で、本当にいい場だなって思います。
―――ボランティアの方含めて、皆さんそういう雰囲気ができているのはすごい不思議ですね。
Aさん 雰囲気があったかいですよね。
大会参加者の待機テントの様子。赤いシャツがエドワーズライフサイエンスのボランティアの方々
◾️手術や治療の体験を共有しやすい“空気”
Bさん 今回初めての参加でしたが、私もその雰囲気を感じました。
ボランティアの方々も皆さんと関わろうという姿勢で、参加者と会話をされている方もいれば、荷物持ちとか、段差の注意とかちょっとしたサポートをされている方もいらっしゃって。自然と拍手が湧き起こる雰囲気っていうんでしょうか、それは準備している時から感じました。
―――段差とか、皆さんすごい気をつけてくれていましたよね。
Bさん はい、お互いを支え合う雰囲気がありました。開会前に、受付を済まされた方々がテントの下の椅子で待機されていて、少しお話を聞いてみようと思って声をかけたんです。その中に、奥様の方が心臓手術をしたということで、ご夫婦で参加されている方がいらっしゃいました。
病院で検査を受けた際に、逆流がもう重症ですと、いきなり言われたそうです。ちょっとしんどいな、ということはあったけれど、まさか自分が心臓の病気で、しかも重症だと言われると思っていなくて、ショックというか、状況を理解できなかったとおっしゃられていました。
手術をした後、以前と比べてものすごく体が軽くなったという感じではないけれども、「これで治ったんだ、これで安心できる」というのが手術して良かったことだとおっしゃられていました。そんな治療についてのエピソードを、初対面の私に共有してくださって。
声をかけるまではお話したいのかわからなかったのですが、いざ声をかけて話し始めると、どんどんお話が続いて、きっと自分が経験したことを話したかったんだろうな、と感じました。
会場に設えられた「段差注意」の看板
―――個人情報の中でも最も機微な部分である、病気の話って普段はなかなか聞くことができないですよね。
Bさん とてもパーソナルなことですよね。私も「何の手術ですか?」からじゃなくて、今日は暑いですね、みたいな差し支わりのない話からして、雰囲気を伺いながらお話をするように気を付けていました。
でもASFRの場は、ボランティアの人もだいたい状況が分かっている人なので、多分安心して話せる空気になっているんだと思います。
Aさん 確かに、ただ道ですれ違った人よりは心のつながりがあって、初めて会った人だけど助けたいと思ってくれている人、というところに安心があるのかもしれません。